もう、本なんて読まなくてもいい


新井由己/45歳/男性

東京都武蔵野市
フォトグラファー&ライター

—— 最初に10日間コースを受けたのはいつごろ、どのセンターですか?
2009年9月16日〜27日、千葉のダンマーディッチャ。
—— 休みはどのようにして取りましたか?
フリーランスなので、仕事を入れない期間を選びました。
—— どうして行こうと思いましたか?
ブッダが悟りを開くきっかけになった瞑想法があると知り、興味を持ちました。たまたま読んだ本で、歩く瞑想などが紹介されていて、日常生活でも生かせる瞑想法という点にひかれました。
—— どういうきっかけでJVAを知りましたか?
仏教関係の本でヴィパッサナー瞑想を知り、体験できる場所をインターネットで検索しました。「日本ヴィパッサナー協会」という名前で、組織がしっかりしているように感じて申し込みました。
—— ほかの瞑想方法(ヴィパッサナーを含む)は検討しましたか?
座禅などが苦手だったので、日常的な動きの瞑想ということで、ヴィパッサナーに興味を持ちました。ほかの瞑想方法はなんだか怪しく思ってしまい、あまり検討したことがありません。同じヴィパッサナーでも種類があることも知りませんでした。
—— もしくは、試したことはありますか?
スマナサーラ長老の本を読んで、歩く瞑想を少し試してみましたが、ゆっくりとした動作に違和感があり、言葉によるラベリングが難しい(先に言葉になってしまう)こともあって、けっきょく、ゴエンカ式の自然さが自分には合っていると思いました。
—— 最初のコースを終えて、何か変わりましたか?
心と体が密接につながっていることが、体験を通して納得できました。足が痛いと思っているとずっと痛いけど、どこまで痛くなるか観察すると、痛みが消えていくのが不思議です。5分もできなかった正座が、1時間でも平気でした。自分の心しだいで、いろいろなことが変わるんだなと思いました。

10日間のコース中、
頭で考えたことに対して、体が答えを出してくれることが何度もありました。これまでは、本を読んだり映画を見たりしながら外から知識を得てきましたが、今回の瞑想方法はまったく逆のアプローチでした。

つまり自分の体を観察することからすべてのことを理解していくのです。頭で考えたことに、体が答えを出してくれる。その繰り返しでした。

〈もう、本なんて読まなくてもいい〉

本を読んで考えることが好きで、それを生業にしている僕をそんな気持ちにさせるほどの、人生の価値観を変える衝撃的な体験でした。

それから、ある本の印税を払ってもらえないことで苦しんでましたが、9日目にそのこだわり(サンカーラ)が浮かんで消えたことで、以前ほどの怒りの気持ちはなくなりました。もうひとつ、頭では理解できないのですが、お酒をまったく飲まなくなりました。それまでは毎日度数の強い酒を3〜4時間は飲んでいて、健康上もよくないと医者にも言われていたほどです。半年くらいは一滴も飲まず、最近はつきあいなど必要なときや一口味わいたいときは飲んでます。風呂上がりにビールが欲しかった気持ちは、ノンアルコールビールで満足するようになりました。

—— コースから戻ったあと、周囲の人たちから何か言われましたか?
「人が変わったように、穏やかになった」と、妻に言われました。友人たちには穏やかとか優しいと言われることがありましたが、さらに雰囲気が優しくなったようです。
—— またコースに参加してみたいと思いますか?
機会があれば参加したいと思っています。
—— これまで10日間コースに何回参加しましたか?
   複数ある場合は、およその時期を教えてください。
2010年10月30日〜11月10日に、2度目のコースに参加しました。
—— 日々の瞑想は実践していますか?
最初のコースのあと、半年くらいは毎朝1時間座っていましたが、そのあとは足首の捻挫が慢性的になって、サボってました。それでも、瞑想は続けたいと思っていたのが不思議です。
—— 続けるときのポイントや工夫していることはありますか?
グループ瞑想用のCDを購入して、それを流しています。あとは自分の日常生活のリズムにどうやって座る時間を入れるか、まだうまくいっていません。食事をするように瞑想しなさいという言葉を意識していますが……。
—— 周囲の人にコース参加を勧めたことはありますか?
最初のコースから戻って、会う人みんなに勧めています。なかなか休みが取れない人が多いので難しいですが、興味を持って聞いてくれます。たった10日間(前後を入れて12日)の体験なのに、こんなに大きく価値感が変わるのに驚きます。
—— 瞑想をしていることについて、
   友人や家族など、周囲に人にどう思われていますか?
怪しい宗教に入ってしまったのではないかと思われることもなく、今までどおり接してもらっています。意外にヴィパッサナー瞑想を知っている人が多いことに驚きました。
—— 一日瞑想会やグループ瞑想会に参加したことがありますか?
   ない場合、参加しようと思いますか?
東京在住なので、吉祥寺の瞑想会に行けるときは参加しています。またほかのグループ瞑想も都合がつけば参加しています。
—— 意見交換など、横のつながりの必要性は感じますか?
   ある場合、どんなところに期待しますか?
自宅でひとりで瞑想をしているとなかなか続かないので、近所の仲間たちでグループ瞑想ができるといいなと思います。
—— サーバー(奉仕)をしてみようと思いますか?
ダンマワークには参加していますが、サーバーはちょっと敷居が高い気がします。前に座ることにプレッシャーがあるので、きちんと座れるようになってからと思っていましたが、最低限、グループ瞑想だけ座ればいいと聞いて、かえってそのほうが集中できるかもしれないと思いました。日常生活の中でちょっと1時間座るというスタイルにも慣れそうです。次はサーバーでの参加を考えています。
—— その他、何かあれば
350mlくらいの保温タンブラーや保温マグがあると重宝します。最初のコース時にほかの人が持っていて、2度目に持参しました。これがあると食堂を離れて外でゆっくりお茶を飲むことができます。


【以下、サーバー(奉仕)体験者の方へ】

—— サーバーをしたのは、最初のコース参加後からどのくらいあとですか?
最初に参加したのは2009年の秋で、次はサーバーをしたいと思いましたが、1年近く空いてしまったため、2度目は生徒として参加し、3度目にサーバーとして参加しました。最初から数えると、2年半後くらいになります。
—— どうしてサーバーをやろうと思いましたか?
ワークキャンプで瞑想者と話すことは楽しいのですが、修業している生徒さんはいないので、生徒さんがいるときに奉仕をしたいと思っていました。
—— 初めてサーバーをして何を感じましたか?
最初は何もわからず、目の前の仕事に追われるだけでしたが、3日くらいで流れが掴めてからは、生徒さんに対する気持ちを意識することができました。奉仕者どうしの関係性を保つと同時に、生徒さんの瞑想がうまくいくように思いながら、奉仕の仕事ができるようになりました。
—— 生徒での参加とサーバーでの参加では、何が違いましたか?
生徒として坐ると「自分の気持ち」を整えられますが、奉仕として参加すると「周囲との調和」を意識させられます。日常生活の中で、平静な心でいることに加えて、さまざまな出来事に対して、より実践的に反応しないことが学べました。
—— またサーバーをやろうと思いますか?
しばらくの間、奉仕での参加を考えています。今の自分にとって、自分の心を整える以上に、周囲との調和を学ぶ必要があるように感じました。
—— 生徒として参加したいと思う場合、どんな理由ですか?
自分の心の奥底にあるクセを改善したいときに、生徒として集中して坐ってみたいと思います。
—— その他、何かあれば
生徒と奉仕では、まったく質の異なる恩恵を受けることができます。毎回のコースで奉仕者が足りないようなので、ぜひ一度、奉仕での参加をおすすめします。生徒と奉仕は車輪の両輪で、どちらも必要なことだと思います。




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たった十日間で本来の自分を取り戻せます。ブッダが悟りを開くきっかけになったヴィパッサナー瞑想のなかで、日本ヴィパッサナー協会(JVA)が行なっている十日間コースの参加者を対象に、コース参加前後でどのような変化があったのかを聞く。